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​ご挨拶に代えて

 今年度の舞台総合実習ⅢAでは前川知大さんの『関数ドミノ』を取り上げます。金輪町(こんりんちょう)と呼ばれる架空の地方都市が舞台で、この町である奇妙な交通事故が起こったことから物語は始まります。

 この企画は当初「小ホール」を会場と想定してスタートしたのですが、昨年後半からのコロナ過の拡大を鑑み、換気や観客動線などの点でより有利な「中ホール」に会場を移して上演する運びとなりました。中ホールの舞台上にアクティング・エリアと観客席を仮設しているのは、小ホールと同様の緊密な空間での上演を目指したことの結果です。

 今回『関数ドミノ』を取り上げたのは、この戯曲が俳優にとってもプランナー/スタッフにとっても学びの多いものであると考えたからです。「演じる」作業も「デザインする」作業もそのスタートはそれぞれの「主観」です。が、ゴールとなる表現は「客観性」を備えていなければなりません。客観性を持つためには戯曲を構造から理解することが不可欠ですが、そのテキストとして『関数ドミノ』は最適な作品の1本だと思います。

 今回のⅢAと同時期に設定されていた昨年度のⅢAは「大規模イベントの自粛と学校の休校要請」のために稽古の半ばで中止となりました。今回も稽古期間は緊急事態宣言の発出中となりましたが、当初は稽古をオンラインで、その後は感染症対策を施した上で対面での稽古に移行し、ようやく幕を開けるところまで漕ぎつけました。

 ご観劇くださった皆様のご忌憚のないご感想をお聞かせいただければ幸いです。ご来場いただき誠にありがとうございました。 

​演出・山田和也

山田和也

 

 日本大学藝術学部演劇学科卒業。卒業後は東宝演劇部に所属、ミュージカルを中心に、翻訳劇、大劇場演劇、そしてマキノノゾミ、鴻上尚史、鈴木聡、飯島早苗など、現代日本の錚々たる劇作家の話題作を演出している。

 最近では、『ダンス オブ ヴァンパイア』『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』『ローマの休日』『オトコ・フタリ』などの演出を手掛けた。

 2017年より丸美屋食品ミュージカル『アニー』の演出を務め、本年は4月24日から、新国立劇場中劇場にて上演される予定。

【主な受賞歴】2002年菊田一夫演劇賞(『チャーリー・ガール』『ジキル&ハイド』『ミー&マイガール』の演出)。2010年千田是也賞(『ミュージカル シラノ』『ラ・カージュ・オ・フォール』の演出)。

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